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びんかんでなにがわるい

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クロスオーバー2

 朝の出会いはこれまでの人生の中でもそれなりに衝撃の出来事であったといえる。が、そうであったからといってその後の出来事に何かしらの変化が起こるといわれれば、そんなこともない。
 時間が来れば朝日はのぼり、さらに進めば生徒がいつものとおりに登校してくる。
 そうして始まるいつもと同じ日。誰も彼もがそれに疑問を持たずに当たり前にやってくる毎日を、あるいは期待をこめて、あるいは気だるそうに、あるいは意味もなく享受する。
 変化のない毎日には刺激はない。
 だが、刺激がないということは少なくとも平和なのだ。誰も好き好んで平和を乱したいなどと思う人はいないはずだ。
 喧騒に包まれている授業の始まるまでのほんの少し前の、にぎやかでやかましい教室に、窓際最後尾の席から聖は視線だけ向けて見渡した。
 楽しそうに先日のテレビなどの話題をする人。宿題を忘れて必死に友人のノートを写している人。一人本を読んでいる人。
 いつもと同じ光景だ。異変となんて程遠い、平和そのものといえる。

 (何を考えているんだか)

 どうにも今日の朝からおかしな思考をしてしまうと、軽く頭を振ってそれを振り払う。
 気を取り直して一時間目の授業準備を始めようとしたとき、教室の扉が開いたきりそのままで初老の教師が入ってきた。HRの時間まではまだ少しあるというのに今日は少しだけ早い。それでなくてもこの教師は少し時間にルーズな部分があるために聖だけでなく教室内にいる生徒の半分以上が驚きを隠せないでいた。
 そんな状態になったものの教師の一声で席についていなかった生徒は席に着く。いつもはこの教師が声をかけたからといって全員がすぐに行動に移すわけではない。数人はやはり聞き分けのないものがいたりするものなのだが、今日に至っては全ての生徒が席に着き教師の様子を伺っていた。

 「みんな、いますね……では、ほら……入ってきなさい」

 特に点呼を取ることもなく目視で確認しただけで記帳に記載すると、締められていない扉に向かって声をかけた。

 「え……?」

 聖の声にあわせるように教室内が騒然とした。
 予兆がなかったから。聞いていなかったから。
 なんにしても、唐突に扉から現れた人物に誰もが驚きを隠せないでいた。聖もその中の一人で、眼鏡の奥にある凛とした瞳が、驚きに見開かれている。おそらくはかなり稀な状態なのだろうが、誰も彼も今聖に視線を向けているものはいない。
 ゆったりと、それでいて堂々と。
 優雅という感じはない。だというのにただ歩くという動作一つで、皆一様に釘付けにしながら、長い黒髪をなびかせながら女性が教壇の横に立ち、生徒たちへと顔を向ける。
 その瞬間、静かだった教室が一気に湧き上がった。
 主に男子が歓声を上げたりしているのだが、女子は女子で感嘆の声を出し、どこか惚けた感じになっている。
 ただ一人、聖だけが驚きのままに女性に視線を向けていた。
 膝下まで伸びているのにもかかわらず、陽光を受け艶やかに輝く髪。白磁のように白く透き通った肌。憂いを帯びた瞳に瑞々しく潤う唇は男子だけではなく女子までも魅了してしてしまいそうな淫靡さが見え隠れする。
 制服を押し上げてははち切れんばかりに膨らんでいる双丘。引き締まったウェスト。程よい肉に包まれた脚線美は生唾物であろう。
 欲望丸出しの視線も間違いなく混ざっている中、まるで気にした様子も見せずに、女性は教師に促されるまま黒板に自分の名前を書いていく。

 「日下部 初夏(くさかべ はつか)、です。こんな時期での転入なのですが、よろしくお願いします」

 騒音に満ちている中で、それほど声を張ったようにも見えないのだが女性、日下部 初夏の声は、最後尾に位置する聖の耳に確かに届いた。
 転校や転入などという出来事は、長いようで短い学生生活の中で一度遭遇できればいいくらいのものだろう、ともすれば日下部初夏の言葉は刻み込まれたのではというほどに聖の耳に残っていた。

 その後、予定調和といわんばかりに日下部初夏は聖の隣の席となった。定番では確かに一番後ろの席となるわけだが、今回は聖のステータスが原因となったとも言える。
 まだ転入したての初夏は教科書等を持ち合わせていないため、必然的に聖と席を密着させての授業となる。これが中等部であれば自己紹介で一時間使っていたかもしれないが、生憎聖たちは高等部。将来のためを思えば、少しでも勉強に時間を費やしたいと思う人間は少なくないはず。

 「…………」
 「…………」

 ノートにペンを走らせる音が嫌に大きく聞こえる。それだけ集中しているかといえば、そうではなく、聖は無言で作業をする初夏の横顔をちらちらと何度も見直していた。
 理由としてはやはり、外見的特長も、声も、今日の朝に見て聞いたものに限りなく酷似していると思うところにある。あるのだが、それを聞いてどうしようというのだろうか。何も思いつかないでいる。

 (朝会った、としてそれが一体何に?)

 会話らしい会話をしてないどころか、聖としては追い出そうとさえしていたくらいだ。学園関係者からすれば当然の反応だろうが、印象はいいとは思えない。
 しかし、本当に仲良くなりたいかといえば、仲が悪くなるよりはなったほうがいいとは思うが、必要以上に親しくなる必要性は感じていない。
 最初に席を密着させるときに会話のチャンスといえばチャンスだったのだが、初夏自身必要最低限の挨拶しかしてこなかったために聖としてもそのまま返し、それで終わっている。

 (……まぁ仕方ないわね)

 基本的にポーカーフェイスで、感情もほとんど表に出すことはない。面白みのない人間だとは自身で思っているところである。ならば初対面の人間がそう思うのも仕方のないことだとして、頭を切り替えようとする。

 「っ!?」

 その前にもう一度だけと視線を向けると、今までノートと黒板以外に視線を向けることのなかった初夏が聖の方をじっと見つめていた。聖が顔を向けてくるのを待っていたのか、お互いの目が合うと、初夏はその憂いを帯びた瞳を少しだけ緩めながら口を開いた。

 「どうかした?」

 透き通るような声はそのままで、しかし先ほどとは打って変わっての優しい声。動揺に高鳴っていた胸が、それだけで静まり始めてしまっている。

 (なんで、だろう……)

 初対面で愛想のいい挨拶一つ向けず、それどころかしつこいくらいに視線を送っていた。そんな相手に対してどうして初夏はこんな表情でこんな優しい声を出せるのかが心底疑問だった。

 「十さん?」
 「あ、あぁ……すみません。授業、大丈夫ですか?」

 その言葉が予想外だったのか、一瞬だけ驚きを見せて、しかしすぐにもとの表情に戻りながら頷いた。

 「前の学校とそれほど違わないから、大丈夫。ありがとう」
 「いえ……」

 会話はそれで終了した。
 他人との会話が好きというわけではないが苦手というわけではない。続けようと思えばまだまだ続けられる。授業中ということを考慮しても話題を作ることくらいはわけはないのだが。

 (……なに、この感覚?)

 普通に話しかけたり話しかけられたりするクラスメートと同じようにするだけのはずだ、隣の転入生にそうしようとすると、なぜか胸の辺りがざわざわとする。
 今までに体験したことのないような感覚が走り抜けて、どうにも思考を初めに何もかもが落ち着かなくなる。
 だからといってその感覚に嫌悪感を覚えるかといえば、その逆だ。

 (どうしてだろう?)

 結局、頭ではやめないとと思っていながらも、無意識に向けてしまう視線をとめることができず、授業終了まで数回視線が交わった。





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聖×初夏 | コメント:1 | トラックバック:0 |
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コメント

クラスメイトの方々も、まさか初夏嬢が無数の異形を倒し、それと
同じだけ(もしかしたらそれ以上)の数異形に犯され徹底的に肉体を
開発されているとは思わないでしょうネ…と考えると何かこう
股関にギュンギュン来るモノがありますネ^q^

改めて、Pixivの方ではそるべと名乗らせて頂いておりますらすです。
長編クロスオーバー物、楽しませて頂いております。
次回が楽しみでござる
2010-10-29 Fri 22:39 | URL | そるべ(らす) [ 編集 ]

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